刺青を腹の辺りに入れようと思ったのは、あの時俺の下で喘いでいたジャンの姿が脳裡に焼きついて離れなかったせいだ。持ち上げるように下から突き上げると、根元までずっぽり咥え込んだ俺の長チンポの形が浮き彫りになりそうな薄い、白い腹。思い出すとうっかりまた勃起しちまいそうで、誤魔化すように咳払いをして。
刺青の位置には疑問を呈しつつも、ズボンを下ろせという俺の言葉には大して何も思わなかったらしいジャンは、ひどくあっさりとズボンを膝の辺りまで下ろした。パンツを履いてなかったせいで――そういや服は用意してやったが下着までは手が回らなかったんだった――剥き出しのジャンのチンポが転がり出てくる。特にどうってことない、興奮して勃起してるわけでも委縮して縮こまってるわけでもない、ありきたりの男のチンポだ。サイズの違いはあれど、俺についてるものと変わらない、ただの排泄器官だ。それなのに。
(――もんのスゲェエロく見えるんだよなぁ……)
全裸の女が目の前にいたってこんな風にはなったことがない、ってぐらいに自分が動揺して――興奮してんのが、分かる。一体俺はどうなっちまったのか。これまで自覚がなかっただけで男もイケる――むしろ、男の方が好みだったってことなのか。仮にそうだとしても、だ。興奮したならこれまで通り、チンポの勃つまま気の向くまま、レイプしちまえばいい。それなのに、俺のチンポは「あれは何か違った」と訴えてやまない。死ぬほど気持ちよかったのは間違いねぇってのに、気持ちいいだけじゃ満足できなかったと主張してくる。そんなチンポを宥めながら、俺は慎重にジャンの身体にナイフを滑らせた。
(――舐めてぇ……)
血のにじむ傷痕を眺めているうち、不意に浮かんだ衝動に思わず咳き込む。何を考えてんだ、と思いながらも、視線はしっかりと部屋の戸締りを確認していて――よし、鍵はちゃんとかかってるな。脳内で指差し確認してる時点でもう、俺の肚は決まったようなもんだった。舐めてぇ。舐めよう。舐める。
ジャンの隣に腰を下ろすと、あからさまにビクつかれた。あー、自業自得とはいえ、何か傷つくわぁ……傷つくって、何がだ。自分で言っててワケが分からん。力の入ってない身体をソファに転がすと、また怯えた顔で罵られる。何もしねぇって言ってんのに。ただ、その刺青から溢れ出る血を舐めるだけだ。俺のつけた傷なんだから俺が舐めて綺麗にしてやるのはおかしなことじゃねぇ――よな?
俺が刻んだ痕に舌を伸ばし、溢れ出た血をべろりと大きく舐め取る。それから、GDの形に添って細かく舌を這わせて。拭い取っても再び溢れてくる血に、また舌を伸ばし――いつしか俺は夢中になってジャンの血を舐め啜っていた。相手が感染症持ちなら自分まで罹患する可能性のある、危険な行為。他の人間相手ならこんな風に舐めるなんてありえなかったはずだ。そもそも人間の血なんて大して美味いもんじゃねぇ。そのはずなのに、舌に刺さるジャンの血の味は極上の甘露みたいに俺を酔わせた。
夢中になって刺青の傷を舐めていると、いつの間にかジャンのチンポが勃起しかけていることに気づいた。そういやここに連れてきてから碌にシコッてる暇もなかったよな、と思ってジャンの勃起に手を伸ばす。あくまでも親切心で抜いてやろうと思っただけ――ってのはやっぱり嘘で、ジャンの性器に触ってみたいとか、いく時のあの快感に蕩けた顔を見てみたいとか、そんな下心があったのも事実だった。
だけど、それだけじゃ――触るだけ、じゃ収まらなかった。傷つけないよう細心の注意を払って触れた俺の手の動きに、ジャンが快感に濡れた呻き声をいとも容易く漏らす。その声を聞いてるうち、俺は身の内にこみ上げてきた欲求を抑えられなくなり――ジャンのチンポにむしゃぶりついた。
「や、やめ……ん、あぁッ」
口の中に広がるジャンの味に、大袈裟じゃなく脳天が痺れた。着替えさせた時に軽く拭いてやってはいたが、その後で大立ち回りを演じただけあって、先走りのガマン汁には汗とションベンの味も入り混じってて――なのに、それが余計に興奮を煽った。女のまんこすら舐めたことのねぇこの俺が、夢中になって男の――ジャンのチンポをしゃぶってる、その意味が。
(お前だから舐めたいし、触りたい。お前だから、レイプしたくねぇ。お前だから――ジャンだから、乱されるんだ)
それをどうやったら上手く伝えられるのか。途方に暮れながら、懇願する。
「やり、たいんだよ、ジャン……」
――お前とだけ、やりたい。