目を覚ますと腕の中にあったかい塊がいた。一緒に暮らす恋人の、慣れた体温。だが、こうして寝起きにその温もりを味わうのはひどく久しぶりだった。十二月も二十日を過ぎると加速度的に忙しくなる、というのはカタギもヤクザも変わらない。今年も――否、既に去年になっているか――それは同様で、俺もジャンもかれこれ二週間ほど働き詰めでセックスはおろかキスをする機会にもほとんど恵まれていなかった。
同居している家に帰れない日もあったし、帰ったとしてもジャンはいないか既に寝ていることが多かった。起こさないようにこっそり寝顔にキスをして眠りに就いて、起きた時にはベッドの隣はもぬけの殻。腕を伸ばして探ってみても、体温すら残されていないシーツの冷たい感触が返ってくるばかり。そんな日々が続いていた。
「はぁ……」
俺に背中を預けて眠る腕の中の身体をギュッと抱き締めて、右の二の腕に乗っかっている頭に顔を埋めて息を吸い込む。俺と同じ石鹸の香りに混じる、ジャンの汗の匂い。そういや昨日、やった後はシャワーを浴びずにそのまま寝ちまったんだっけ。昨日のジャンはエロかった。もちろんジャンはいつでもエロいが、むしろエロくない時の方が少ないぐらいだが。久々だったせいかいつもの数倍はエロくて――と、昨夜の行為を反芻した結果。
「……ッ……」
下半身に一気に血が集まった。昨日さんざんジャンの中に出したってのに、そんなことはすっかり忘れましたと言わんばかりの勢いの、ガチ勃起だ。体勢的に、ちょうどジャンの尻の狭間に当たっているそれをどうしようかと思い悩んでいると。
「もしもーし、イヴァンくん。俺のケツに何か当たってるんですケド?」
「――ッ!?」
てっきり寝ているとばかり思ってたジャンが、いきなり声を上げた。思わず上半身を少し起こして見下ろすと、ジャンが半開きの横目で俺に視線を流してくる。
「昨日あんだけ出したのにまだ勃つとか……若いってすごいわぁ」
「こ、こここれは、朝勃ちであって、だなぁ」
「起きた時はそこまでガン勃ちじゃなかったじゃんよぅ」
「なっ、テメ、いつから起きて――」
「で、その勃起、どーすんの? そこまで勃っちゃったら治まるの待つより抜いた方が早いんじゃね? 自分でシコシコして抜くの? それとも俺がシコってあげよっかぁ?」
「う……そ、その……」
自分で抜くのは論外だが、ジャンにシコってもらうのは悪くない。だけどそれ以上に。
「入れてぇ、んだけど……」
起こしていた身体を屈めて、ジャンの項を甘噛みしながら懇願する。我ながら情けねぇと思うような声色だった。そろり、とジャンの股間に伸ばした左手に触れたのは、半勃ちのナニの感触。この手を振り払われないってことは、その気が全くないわけじゃないってことだ。頼むから断らないでくれ、という願いを込めて、白い首筋に何度も何度も柔く歯を立てる。
「ん、ばっか……もう……」
ジャンに肘で押しやられて、渋々身体を離す。昨日やりすぎたせいで身体がつらいのかもしれない。我慢するしかねぇのか。断腸の思いで見下ろす俺の目の前で。掛け布団を跳ねのけたジャンが、ゆっくりと脚を開いてみせた。その姿勢のまま、自分のケツの穴を指で開くみたいにして、それから。
「ほら、来いよ」
「お、まえ――エロすぎ、んだろう、が――ッ!!」
昨日のジャンが今までで一番エロかったと思っていたが、まだその先があったとは。こめかみが痛みを覚えるほどに熱くなって頭の血管がぶち切れるんじゃないかってぐらいに興奮した俺は。ジャンに飛びかかって。昨夜使ったローションがまだ乾ききっていない内側に入り込んで、揺さぶって、キスをして。
後から、やりすぎだと怒られるぐらいに、出した。後悔はない。