夢の中ですらジャンに会えない可哀想なバクシーの話。菅沼先生のnoteSS『signpost of Bethlehem』の内容をうっすら下敷きにしてる

018:夢でも会えない

2,131文字 / 約3分
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ジャンが親父に付き添ってシカゴに出かけちまってから早や二日。帰りの目処は未だ立たず。その間寂しい独り寝を余儀なくされちまった俺は。カサブランカの二階の自室で、ジャンに宣言した通り大人しくシコッて寝ようと思った俺、ジャンのラヴァーズことバクシー・クリステンセンは。前に撮らせてもらったジャンのどちゃクソエロいセクシーショットを隠し場所から取り出した。
逸る気持ちを押さえこみ、考えなしに開ければ発火して中身を焼き尽くす抽斗の仕掛けを慎重に回避して。この写真は誰の目にも絶対に触れさせない、ってのはジャンとの約束だが、それが無かったとしても、ジャンのこんなあられもない姿を他の人間の目に触れさせるなんて許せるわけがねぇ。その、大事な大事な秘蔵写真を前に、俺は革ズボンの前を寛げて、可愛い息子を引きずり出した。

「ジャンくっそエロいなぁ可愛い、可愛いジャン、俺の、ジャンッ」

ジャンとやるようになってから、センズリかいてもどうにも出が悪いと思われていた俺の息子だが。くっそエロいポーズを取ったジャンの写真をオカズにするとそりゃもう効果覿面、本人を目の前にした時と同じくらいとまではいかずとも。ジャンを知る前にはそうそうオナニーでは経験したことがないぐらいに怒張し、浮き上がったぶっとい血管を脈打たせて涎を垂らしてみせる。

「ジャンジャンお前の中に、この穴の中に突っ込んで最後の一滴までお前の中で出し、てぇッ」

写真に映し出されたジャンの下半身は、ケツの穴やチンポの裏筋、タマの裏側までもを曝け出して俺に見せつけている。

「あぁこの、タマの裏っ側の縫い目のとこに亀頭押し当てて擦りつけてェよぉジャぁン

柔らかい袋を俺のガマン汁でべっとべとに濡らしてやりたい。袋の表面の微妙な襞に尿道の入り口を擦られると、手でシコってもらったりケツの中に突っ込んだりした時とはまた違う絶妙な気持ちよさがある。金玉ですら気持ちいいむしろどこ触ってもどこに擦りつけても気色いい感触しかしねぇとか、ジャンの身体どうなってんだ。最高か。

「ア、出る、出る、出る出すぞ、ジャンッ!!」

めっちゃ出た。気をつけてたのに、それでも写真の中のジャンが被弾しちまうくらいの勢いで、出た。

「あー、やっちまったワァ。また焼き増ししねェと、だなぁ」

写真相手じゃ後戯でいちゃつくこともできやしねぇ。気持ちよくぶっ放したら後は寝るだけ。やってきた睡魔に身を委ね、俺は眠りの大海原へと漕ぎ出した。

◇ ◇ ◇

降りしきる雪の中を俺は歩いていた。独り、だった。どこに向かっているのか分からない否、思い出した。リーハイ川だ。リーハイ川に辿り着けばそこにジャンがいる。俺を待ってくれている。こんな雪だ、もしかすると心細い思いをしてるかもしれねぇ。あいつは、ああ見えて独りになるのを怖がってるところがある。

「だから、俺が迎えに行ってやらねぇと

一分でも一秒でも早く。あいつの元に駆けつけて、抱き締めて、お前を独りにしたりしねぇって、言ってやらねぇと。そう、思うのに。ブーツで踏みつけた雪がサラサラして踏み応えのないそれのせいで、一向に身体が前に進まない。体重を乗せて踏み込んでも、靴底がグリップしないせいで勢いが殺されて、まるで後ろに引き戻されてるみたいなもどかしさが俺を苛立たせる。

「クソ、クソクソクソ! ジャンッ」

腹の奥底に溜まった鬱憤を声に載せて咆哮する。今頃、ジャンはどうしてるんだ。きっと俺を待って、不安な想いを抱えているはずだ。それとも、待ちくたびれて待ちきれなくなって、一人で川を渡って行っちまったかもしれない。もしかすると、俺がジャンを置いて行っちまったと誤解しちまったかもしれない。あるいは〝あいつ〟にあの、金ぴかの輪っか野郎に、連れていかれちまって

考えるな。無心で歩けばいい。何も考えずにリーハイ川を目指してただ足を動かしていればいい。考えるな。何も、考えるな

どれくらい歩き続けたのか、進む先に雪原を横切る真っ黒な帯がリーハイ川が見えた。辺りを見渡しても、橋は、ない。だけどきっと、あの川の向こうでジャンが俺を待っている。橋がないなら、泳いで渡ればいい。
俺は真っ黒なリーハイ川の流れに足を踏み入れ、そして、その冷たさに震えあがり凍えた手足は次第に動きが鈍くなって、やがて。自分の身体が水の中に沈んでいくのを感じながら、俺は頭の中で馬鹿の一つ覚えみたいに恋人の名を繰り返し

◇ ◇ ◇

最悪の目覚めだった。夢見が悪かった、ってやつだろう。目が醒めた今となっちゃあ細かい内容までは覚えていないが、ジャンに会えなかったっていう絶望感だけはまざまざと残っている。

「クソッタレ縁起でもねぇ

枕元に視線をやると、眠る前に使ったシコリオカズのジャンの写真が目に入った。だけど、普段なら銃弾装填待ったなしのそれを見てもチンピクすらしねぇぐらいの最悪ぶり。

「本物の、ジャンに会いてぇ早く帰ってきてくれよォ」

そんで、いつもみたいに俺を抱っこして、安心させてくれ。

住の江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ