嵐に滅茶苦茶にされちゃったバクシー・クリステンセンさんの独白。と見せかけて。

022:君は、あらし

1,654文字 / 約2分
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俺がジャンに惚れてるって自覚したのはジャンと二度目のセックスをした時だったか。GDのスミを入れてやったジャンを抱いてる最中いや、抱いた後か? うーん、それよりもーちょい後、何回かセックスしちゃってからだったかもなァ。けどまぁ、自覚が遅かっただけで実際はそれよりもっと前から惚れてたってのは確かだわな。
何せ初恋、だからよ。それまでに経験のなかったことだから。才気煥発頭脳明晰英明果敢、聡慧で鳴らしたこのショットガン・バクシー様でも気づくのにちょっと時間がかかっちまったってわけだ。
クソッタレたマジソン刑務所から脱け出して、シカゴのカエル野郎どもの襲撃から生き延びた俺がジャンをレイプして。それまでの俺だったら、賢者タイムに突入しちまえば使用済みの穴に用なんてねぇ。その辺に適当に放り出すか面倒事になるようならバラしちまったっていい。それなのに。溜まってた精液は粗方吐き出した後だってのにそれでもジャンから離れがたくて、衝動的にキスしちまった。
その時まで、重たくなったタマを軽くする以上の意味をセックスに見出したことはなかった。適当な女に適当に突っ込んで、射精するだけの行為。ジャンとヤッた時は、手錠で拘束してるから正常位で突っ込んだが、両腕が自由な相手は何をしてくるか分かんねぇから基本は後背位だ。相手の胸やまんこを舐めるなんてことはするはずがねぇし、フェラチオもさせねぇ。
キスだってもちろんしたことなんかなかった。非力な女だって本気を出せば相手の舌を食いちぎるぐらいのことはできるだろう。わざわざ相手に急所を曝け出すような真似をする意味が分からねぇ。そう思っていたのに、ジャンの顔を見てたらどうしてもキスってやつをしてみたくてあの時にはもう、何かが俺の中に生まれてたんだろう、な。
デイヴに連れてかれるのを見て追いかけていけば、どういう訳かその場には死体が転がってて、イーサン親父以外の連中はみんなブルッて身動きが取れなくなってやがる。武器の一つも持ってねぇどころか、手錠で拘束されたままの無力なチンピラ相手にどヤクザどもが揃いも揃って情けねぇツラ晒して。あんなん、笑うなって方が無理だべ。
シカゴの雑魚ども相手に下手打った俺のとこにマックスを引き連れて現れた時は、マジで痺れたワ。部下はいても相棒なんてもんは持ったことなかったんだが、あんな風に誰かにタマ預けて向こうからも預けられて、そうやって戦う気持ちよさをジャンと組んで初めて知った。
一人の方が強くいられるって信じてたんだよな。信用するのは親父だけ。それ以外の奴はいつ裏切るか分からねぇから、利用はさせてもらうがいつでも殺すための算段は立てておく。それまでずっとそうやって生きてきたし、この先もそうやって生きていくもんだと思ってた。
それなのに、ジャンに全部引っ繰り返されちまった。突風みたいな勢いで俺の中に吹きこんできて、そこにあった何もかんもを掻き回して。二十五年かけて培ってきた俺の生き様だとか価値観だとか上も下もねぇぐらいにぐっちゃぐちゃにして。だけどそれがどうしようもなく気持ちよくて何より、楽しかった。
俺をキチガイ扱いする奴は大勢いるが、実際のところはジャンの方がよっぽどイカレてんじゃねぇかなって思うことがある。あいつの根底には吹き荒れる嵐みてぇなもんが潜んでて、普段は綺麗に覆い隠されてるそれが、何かの拍子に顔を覗かせるんだよな。そういう時のジャンの笑顔獰猛に犬歯を剥き出して、敵の生き血を啜ってるみたいなその表情に俺はどうしようもなくそそられる。普段はジャンを主に俺のチンポで滅茶苦茶にしてやりてぇって感じることが多いが、そういう時は俺の方が滅茶苦茶にされてぇ、って気分になっちまう。

まだ口に出して言ったことはねぇんだけどよ。俺を滅茶苦茶にしてくれって言ったら、ジャンは嵐みたいなあの男は、俺をどんな目に遭わせてくれるのか。なぁ、アンタは、どう思う?

吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ