ジャンさんがスミを入れてから多分一、二回くらいセックスしたんじゃないかな~って距離感のバクジャン。

025:あなたを連れ出す方法があればいいのに

2,148文字 / 約3分
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親父とマックスっつー邪魔者を交えた四人で、相変わらずチリまみれのババアのメシを食った後。ジャンの背中を追いかけた俺はカサブランカの一階の、ジャンの部屋の中にいた。俺がドアの鍵を閉める音に反応してか、こっちを振り返ったジャンと目が合う。何というかまぁ、不審者を見るような目だ。

「何で俺についてきてんだよ、バクシー」
「エート

おめぇとやりてぇからですなんて言おうものなら即座に蹴り飛ばされそうな冷たい口調と視線が刺さる。上手い言葉を探して部屋の中を彷徨わせた視線が足元に落ちた時、自分の股間が視界に入った。革ズボンの生地を押し上げて主張する大砲の存在に、ヤベェ、と思う間もなく。

「テメェ何おっ勃ててやがんだこの野郎」

同じタイミングで俺のチンポの状態に気づいちまったジャンが軋るような声を上げた。

「待ってくれ、これはそのしょうがねぇんだ!」

ジャンが寝起きしてるだけあってこの部屋にはジャンの匂いが染みついてる。他の野郎の汗の臭いなんてぞっとしねぇが、ジャンのそれはどこか甘さが感じられた。実際に甘い香りがするってわけじゃなくて、嗅ぐと甘いもんを食った時みてぇに脳が痺れたような感覚になって反射的に勃起しちまうんだ。決してやりたくて仕方がないからこうなってるってわけじゃなく

「つまり勃起はしてるがやる気はねぇ、ってんだな?」

俺の言い訳を遮ったジャンの言葉を肯定することもできずに俺は黙り込む。やりたくて仕方がないとまでは言わないが、やれるもんならやりたい、という自分のチンポの主張を無視することはできなかった。

「何だよその沈黙は。肯定しろよ」
その、ジャン、ジャンよぅ
やらねぇぞ」

情けねぇ声でジャンの名前を呼ぶことしかできない俺を容赦なく斬り捨てるジャンの一言。言葉を詰まらせた俺に追い討ちをかけるようにジャンが言い募る。

「当たり前だろうが。常識で考えろ、親父もマックスもいるんだぜ?」

俺の口癖を真似してんのが可愛いいや、そうじゃねぇ。これはつまり、クソ、あのハゲどもさえいなきゃやらせてくれたってことなんか。俺とやるのが嫌ってわけじゃねぇんだな? そうなんだよな?

「おい、テメェ、何でさっきよりもでっかくしてんだよ?」

俺とのセックスを満更でもねぇとジャンが思ってくれている可能性に思い至ったからです、ハイ。ますます元気よく主張し始めた俺の息子をジャンはじとりとした目で睨んでくるが、自分にも責任があるってことを自覚してほしい。

「自分でシコッて出すんで、キスだけでもさせてもらえませんかねェ」
シコんのはテメェの部屋でやれよ? ここではしねぇっつーなら
「ハイッ! 自分の部屋で射精しますッッ!!」
「声がデケェわ!!」

慌てて返事をした俺にジャンが怒鳴り返してくる。その声も十分大きかったが、怒らせるとキスさせてもらえなくなるかもしれないんで、賢明な俺は指摘しなかった。お許しが取り消されねぇうちにと急いでジャンに歩み寄り、小さい顎に手をかける。不満そうに、ちょっとだけ尖った下唇が吸いつきたくなるほど可愛かった。
食らいつきたい衝動をぐっと堪えてゆっくりと唇を重ねる。柔らかい下唇をやわやわと食み、軽く吸い上げて。緩んだ隙間にぬるりと舌を差し入れると、ジャンの身体が小さく震えた。

「んっ、ふぁ

塞いだ唇から漏れ出る吐息混じりの声は熱っぽくて、嫌がるような響きがないことに安堵する。舌先で探り当てたジャンの舌を絡め取り、唾液と一緒に啜ると犬の鳴き声みたいな可愛い声が聞こえて。そこからはもう止まらなくなっちまった。唾液だけじゃなく呼吸まで吸い尽くすみたいにして夢中になって貪って。痛いぐらいに勃起しちまったチンポをジャンの腹に擦りつけると、ジャンも同じように勃起してるのが分かった。俺がそれに気づいたのと同時に、ジャンも俺に気づかれたと悟ったんだろう。

「オウフ!」

鳩尾にジャンの拳がねじり込まれた。俺の腹筋にとっては然程のダメージでもなかったが、受けたのがマックスだったら夕飯を戻しかけてたかもしれねぇわな。そう思う程度にはスピードの乗った、それなりに本気のパンチだ。勢いで離れた俺の顔を、目元を赤く染めたジャンが睨み上げてくる。何その顔、超可愛いんですけど。

「終わりだ! さっさと部屋帰ってシコって寝ろ!!」

お互いの涎で濡れた口元をシャツの袖でぐいっと拭ってそう言うと、ジャンは俺に背中を向けてベッドに転がった。上から顔を覗き込んでも、気配には気づいているだろうに頑なに目を閉ざしてこっちを見ようとはしない。この様子だと、今日はもうこれ以上話しかけても無視されるんだろうな。だけどこれだけは言っておかねぇと。

「ジャン、寝るなら歯ァ磨いてからにしろよ、な?」
うるっせぇ」

予想に反して返事が返ってきた。この分なら、俺が出て行ってからちゃんと磨くことだろう。

「そんじゃ、おやすみィ」

天井の破孔に手をかけて自分の身体を持ち上げながら。俺は、親父とマックスの目を気にしねぇで済むようなジャンとやるのに都合の良さそうなヤサを早いところ見つけようと心に決めていた。

名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな