真っ白いシーツの上に散ったジャンの髪の毛が、窓から差し込む陽の光を受けてキラキラ輝いている。俺はそれを見下ろしながら、天使みてぇだなァって、アホな感想を抱いた。神様野郎の御使いなんて、このクソッタレた現実に存在してるはずがねぇのに。
(大体、こんなエロい天使様が人間の前に現れたら即取っ捕まってレイプされちまわぁ)
「なぁ、バクシー、もう……大丈夫、だから」
ゆるりと持ち上げられたジャンの腕が、上から覗き込む俺の頬に伸ばされて、掌で頬を包み込むようにそっと触れた。そのあったかい掌は、さっきジャンに言われた通り、いい子で〝待て〟をしていた俺を褒めるみたいに頬を撫で回してくれる。ジャンの掌から伝わってくる温もりと、俺を慈しんでくれるような優しい動きがどうしようもなく嬉しくって、俺は自分からも頬を擦りつけた。
「ッフフ……猫みてぇ」
そう言って目を細めたジャンの微笑みはどこまでも慈愛に満ちていて美しく、首から上だけを見ていれば神々しささえ感じさせるというのに。胸筋の上では俺に弄られすぎてぽってりと赤く腫れたようになった乳首がツンと勃ち上がったままだし。ついさっき射精したばかりのザーメンまみれのチンポも再び勃起しかけてんのが分かるし。その更に奥の穴は俺を根元までずっぽり銜え込んだまま、物欲しそうにきゅうきゅうと蠢いて、早く動けと催促されている気分にしてくれる。
「これが……ギャップ萌え…………」
「ハァ? 何言ってんのお前……」
「貞淑なオンナがベッドでは娼婦になるとかベタすぎて逆に萎えるわーって思ってたんだけどナァ……」
「だから何のハナ――あァッ!!」
ブツブツ呟く俺を不思議そうな顔で見上げていたジャンが、俺の唐突な突き上げに仰け反って鋭い嬌声を放った。
「バッカ、いきなり――ッ」
ジャンの身体の上に伏せるように身を屈め、快感に上気する顔のすぐ脇に自分の顔を近づけて。俺とお揃いのピアスが刺さった左の耳たぶを舌で弄びながら、ねっとりと囁きかける。
「もう大丈夫、なんだろ? ジャァン」
「アッ、そりゃ、そう、言った、けど……ンッ、そこで喋んなッ」
舌で形を確かめるみたいにピアスを舐ると、その度に俺を銜え込んだジャンの入口はきゅうっと締まって、熱く蕩けたナカが俺をもっと奥深くまで引き込もうとでもいうように蠢く。それがたまらなく心地良くて――嬉しくて。俺は口に含んだジャンの耳たぶを、ロリポップを口に突っ込まれたガキみてぇに執拗にしゃぶった。
「ジャン、ジャン――可愛い、可愛い……」
舌先に触れるジャンの味は薄っすらと汗を含んでいるにもかかわらず、砂糖菓子か新鮮なフルーツを食った時みたいな甘さで、俺の胸を幸せで満たしてくれる。
「――――ッ!!」
不意にジャンが息の詰まったような声にならない悲鳴を上げたかと思うと、ビクビクッと痙攣するのが分かった。同時に、ジャンの中に入り込んでいたチンポがこれまでよりもひと際強くギュウッと締めつけられる。
ジャンの耳たぶを解放し、ゆっくりと上半身を起こして見下ろすと、潤んだ金の両眼に下から見上げられた。奥を覗けば濃いピンク色のハートマークが浮かんでいると錯覚しちまうくらい、快感に蕩けたその目つきに、自分の口がニタリと歪むのが分かる。
「ジャァン、まァたイッちまったのけ?」
チラリと確認したジャンのチンポは、新たにザーメンを吐き出した様子はなかったが、それでも俺は確信を抱いて問いを投げかけた。
「ん……イッち……まったぁ……」
素直に答えたジャンが両腕を伸ばして、甘えるみたいに縋りついてくる。俺の方からも腕を伸ばしてジャンの上半身を起こしてやると、チンポを銜え込んだまま俺の太腿に乗り上げたジャンは両腕で俺の首を抱え込み。
「ん、フ――ッ」
「じゃ、ぁん……ん、じゅ、ぷぁ――」
寄せられた唇を、差し出された舌を受け入れた俺の口の中で、ジャンと俺の舌が熱烈に絡み合う。キスの合間にジャンがもどかしそうに腰をくねらせると、その度に俺たちの結合部からは俺の先走りと潤滑剤の入り混じった粘液がドロリと溢れ出し、ジャンのザーメンと混じり合ってねちねちと音を立てた。
「あッ、あ! そこ、そこ――ヤベぇ、ソコ――ッ」
唇を離した俺はジャンの腰を両側からガッチリ掴んで固定し、自分の腰を持ち上げて奥を抉りながらぐるりと回すように動かしてやる。そうすると、ジャンの口からは悲鳴みたいな喘ぎ声と涎が同時に溢れ出して、俺の上に乗っかった身体が跳ねるように仰け反った。逃げを打とうとする身体を抑えつけ、執拗に同じ動きを繰り返してやる。
「イク、また、イッちまう、って……」
「ハハァ、マジでとろっとろになっちまってンなぁ……」
快感を逃がそうとしているのか、ジャンが頭を小刻みに左右に振って悶えた。その動きに合わせて宙に舞う美しい金糸が、まるで風に舞う花びらのように見えて。いつだったか、ハドソン川の畔で見た花のことを思い出させる。風に散らされる無数の花びらの、あの、刹那的な美しさを。
今、確かにこの腕の中にいるはずのジャンが、目を逸らすと不意に消えていなくなっちまうんじゃないかと。そんな落ち着かない気分にさせられた俺は。
「行くなら、俺も連れてってくれよ……」
「ん、一緒に、お前も、出して――中に、だして……」
恋人の思い違いは敢えて訂正しないまま、腕の中の身体を力いっぱい抱き締めて。俺は、愛しい天使の腹の奥深くで、思いの丈を吐き出した。