バクジャンと猫が戯れてるだけの話。

ねことお昼寝

1,770文字 / 約2分
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お題箱にもらったお題より。

バクジャンに猫を絡ませるの大好きなんですが、バクジャンと猫のお話どうでしょうか!

時折りジャンとの逢瀬に使っている廃屋を訪れたバクシーは、ベッドの上で眠る恋人の姿に頬を緩めた。この家をロックウェルという街を見放して出て行ってしまった元住民の置き土産であるそのベッドは、バクシーが手足を伸ばして寝転がってもはみ出す心配がない程度には広かった。大して広くもない部屋のほとんどを埋め尽くしてしまうようなサイズのそれは、恐らく新婚夫婦が張り切って用意した物だったのではないかとバクシーは見当をつけている。かつては新婚夫婦の子作りのために使われていたであろうそのベッドは、現在ではバクシーとその最愛の恋人の愛の営みに活用されていた。
だが、バクシーとジャンの愛の巣であるはずのそこは今現在、ジャンと野良猫たちの寝床になっていた。以前からバクシーが餌付けをしていた野良猫たちがこの辺りにも何匹かおり、バクシーがジャンとこの廃屋を利用するようになってからはここに来れば餌を貰えると学習して、破れ窓の隙間などから入り込んでくるようになったのだ。
バクシーの立ち位置から見えるだけで、ざっと四匹ほど。一足先にここを訪れていたジャンに餌を貰ったのだろう、どの猫も満足そうな顔をしてジャンに寄り添うように寝ていた。

(天使がにゃんこに囲まれて寝てらぁあれ、俺、もしかして天国に来ちゃったんけ?)

ジャンが聞けば確実にツッコミを入れた後に尻を引っ叩くであろう、そんな感想を抱きながらベッドに歩み寄ったバクシーを、気配を察した猫たちが目を開けてチラリと見上げ。だが、自分たちに危害を加えないと分かっている相手だと察するとすぐに興味を失ったように再び目を閉じる。
ジャンに至っては、目を開けることもしない。バクシーほどではないにせよ、それなりに警戒心の強い彼は廃屋への侵入者の存在に気づいているはずだった。だが、自分よりも気配に鋭い猫たちが揃って無反応を決め込んでいるのはその侵入者がバクシーだからだとジャンは既に学習している。そのおかげで今となっては、猫たちが騒がない限り昼寝中のジャンが目を覚ますことはほとんどない。

(俺相手だったらこんなに安心しきった無防備な姿を晒してくれちゃうとか、たまんねぇよなぁ

ゆっくりと足音を立てずに近寄って、無防備に眠る恋人の顔を覗き込む。その拍子に、恋人の胸に抱きかかえられた五匹目の存在にバクシーは気づいた。薄汚れているが多分元は真っ白なのだろうと思わせる、バクシーの片手よりも小さいぐらいの子猫。小さく千切れた片方の耳と、短いかぎ尻尾のその猫は、我が物顔でジャンの腕の中に居座っていた。
人間相手にはそれなりに嫉妬してみせることもあるバクシーだが、さすがに猫を相手に独占欲を発揮する気にはなれず。だが、ジャンにすっぽりと抱え込まれるその姿に少しだけ羨望を覚えてしまう。自分ではどんなに頑張っても、ジャンに全身を覆うように包み込まれることはできないからだ。

俺もこんなサイズだったら、ずっとジャンに抱っこしててもらえんのかねぇ)

それはとてつもなく魅力的な想像ではあったが、やっぱりなしだ、とバクシーは直ぐに脳内で否定した。現実的でないのはもちろんのこと、そのサイズでは満足にジャンを守ることができないだろう。それに、ジャンにしてもらえる何よりも気持ち良くて幸せなあの行為を享受することもできない。それを失うのは、バクシーにとっては死ぬのと同じようなものだったので。猫になることを素直に諦めた男は。

「ちょいと、邪魔すんぜェ」

眠るジャンの背中側に寄り添っていた二匹をできるかぎりそっと掴み上げる。彼らは迷惑そうな顔でバクシーを見上げたが、自分たちよりも圧倒的に強い生き物に敢えて逆らおうとはせず、されるがままに場所を明け渡した。
空いたスペースに身体を滑り込ませたバクシーが眠る恋人を背後から抱きかかえるようにして寝そべると、避けられた猫たちがその背中に寄り添うようにして身体を丸める。そればかりか、ジャンのそれよりも圧倒的に高いバクシーの体温に惹かれるように、ジャンの腹側にいた猫たちもバクシーの身体にすり寄ってきた。

「ふぁ、ああ

猫を布団に、恋人を抱き枕に。大きな獣は欠伸を一つ漏らして、眠りに落ちた