溢れ出した先走りを塗り広げるようにしながら竿を緩く扱くと、バクシーの喉の奥で空気の震える気配がした。項に押し当てられた唇の隙間から気持ち良さそうな吐息が漏れる。
「ジャァン~」
ジャンの後頭部に額をすり寄せて甘えてくるバクシーのペニスを弄びながら、ジャンはもどかしさに身体を震わせた。背中にべったりとバクシーが貼りついているせいで碌に身動きが取れず、後ろ手で軽く扱いてやるのが精一杯なのだ。だが、その程度の刺激でもバクシーのペニスはジャンの掌の中でどんどんと育っていく。そのことに、ジャンは満足感を覚えて小さく笑った。
「なぁ、もう、入れていいぜ」
「――エッ」
てっきりバクシーもそのつもりだと思っていたのに意外そうな声を上げられて。戸惑うジャンに、バクシーがおずおずと声をかける。
「い、いいのかよジャン……だって、俺、夕べも結構無理させちまったのに……」
「チンコから生まれてきたような野郎が何遠慮してんだよ……」
口では殊勝なことを言っているバクシーだが、入れてもいい、と言われた瞬間にはもうジャンの背中に突き刺さりそうなほどに硬くいきりたたせてしまっていた。そんなものを押し当てられていてはジャンの方だって入れたいという欲求が膨れ上がるのは道理というもので。
「いいから、入れろよ……つーか入れられてぇんだって……カッツォ、言わせんな」
ジャンのその言葉にバクシーは、ゴクリ、唾を飲み込んで。髪の毛の隙間から覗くジャンの耳の縁が赤く色づいているのを見て、余計に勃起を硬くさせる。
「可愛いなァ……たまんねぇ……愛してるぜ、ジャン」
低い声で囁きながら、ジャンの背中に貼り付いたまま腰の位置をずらして。ペニスの先で探り当てた入口は、夕べの行為の名残のせいか柔らかく綻んで吸いつくように先端を包み込んだ。
「やべ……吸い込まれるみてぇ……」
「あ……入ってくる……クソ、何かいっつもより、でけぇ……」
うつ伏せに押し倒したジャンの背中に密着するような体勢のためか、いつもよりも質量が増して感じられるバクシーのペニスに中を押し開かれて、ジャンは背中を震わせた。
「ジャン……? え? まさか、もう……いっちまったのかよ?」
「ぅ……だって、何かこれ……よく分かんねぇけど気持ちいい……」
「――ッやべぇだろ、おめぇスケベすぎるわ、ジャンよぅ」
「あっ、やだ、もっとおっきくなった……バク、バクシー――ッ」
必死にシーツを掴むジャンの右手の甲に、そっと自分の手を重ね。指を絡めてぎゅう、と握り込むと、ジャンの入り口が嬉しそうにバクシーの根元を締め付ける。その動きに促されるように腰を前後させ、ジャンの体内をゆるゆると行き来して。大きな動きはできないというのに、奥まで押し込んでは少し腰を引く、それだけの動きでも二人共に脳天が痺れるほどの快感を覚えた。
「やっべぇ……昨日あんだけ出したのにもう出そうとか……早漏にも程があんだろうが。ジャン、お前の中、良すぎて……俺、童貞に戻ったみてぇになっちまう」
「いっていい、からぁ。バクシー、俺の中に出して――ッ」
下敷きにしたジャンの身体を押し潰すようにしながら腰を押し付けて、身体の奥深いところをゆっくりと探るようにバクシーは腰を揺らした。奥の突き当たり――S状結腸の入口に亀頭が包まれてきゅうきゅうと締め付けられる。
「出る、出す、お前の中に――俺のもんだってシルシ――」
体内で膨れ上がるバクシーのペニスの感触に、ジャンも釣られるように射精してしまう。
「やべぇ……めちゃめちゃいっちまった……シーツが死んだなコレ……」
「どーせ夕べのアレコレで汚れてたし今更だべ」
「そりゃそうか……」
脱力したジャンの上にバクシーが乗っかった体勢のまま。汗まみれの他人の素肌との接触なんて気持ち悪いだけのはずなのに。相手が恋人であるというだけでそれが甘く心地よいものになるのだから不思議なものだと互いに思いながら、取り留めのないことを口にして。
「お前の、何かまだ硬ぇんだけど……?」
「いやー、こんなにスケベ可愛いラヴァーズが腕の中にいるっつーのに一発で収まるわけがないですわ」
「おま、まさか……おま、おま……」
「エー、ジャンももっとおまんこしたいってー? ボクちん頑張っちゃう」
言いながら、汗をかいて薄く湿った頭皮にキスを始めたバクシーに。どうせ何を言ったところで強引にレイプされるんだろうと諦めたジャンは。自分がどうしようもなく幸せそうな表情を浮かべていることには気づいていなかった。