+badegg発売前に考えた妄想悪卵。マジソン収監中のGDジャンさんが、手助けに来たバクシーとアレコレする話。

檻の中のふたり - 1/2

11,787文字 / 約14分
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2010年作。+badegg発売前。
雑誌等に公開されたバクシーのムショ内立ち絵と、バクシーの頭を床に押さえつけるゴンザレスのスチル。
そこから勝手に妄想した「私の考える+badegg」なので、実際のゲームとは以下のような乖離があります。*精神的にはバクジャン要素が強いけど、実際の行為としてはジャンがチンポ突っ込んでる
*ジャンはマジソン収監前に、GDに寝返っている
*バクシーはイーサンの命令でジャンの手助けのためにマジソンに来た(ジャンとはお互い信用しきっていない距離感)
*バクシーは正体を隠して収監されているので、GDの人間も正体に気付いていない
*ゴンザレスはスチル以上の情報がなかったので、GDのモブギャングという扱い

「おっと、危ねぇなぁ!」

わざとらしい声に続いた大きな物音に、俺は反射的に振り返っていた。床に転がったでかい図体と、まだ中身の入っていたらしい食器に、瞬時に状況が理解できて不快感に眉をしかめる。ムショの中ではイジメなんてありふれた風景だが、食いモンを粗末にするってのは気に入らねぇ。
だけど『被害者』が誰なのかを理解したとたん、なけなしの同情心は駆け足でいなくなっちまった。首元まですっぽり覆い隠すような囚人服に包まれたでかい図体をのろのろと動かして立ち上がったその男の名を、俺は知っていた。ただし、ムショの中でもその名を使っているのかどうかまでは、まだ知らない。
『バクシー・クリステンセン』。墓掘り団Grave Diggerの最強にして最兇の戦闘兵器。幹部のくせして自分の所属している組織の連中さえも信用せず、群れることを嫌って部下は一人も持ってない。親父イーサンのためだけに動く野郎の顔は、同じGDの奴らにもほとんど知られていない。

「オラ新入り、零したモンは自分の舌で綺麗にしな」
「好き嫌いはよくねぇぜ。残さず食えよ!」

弱者をいたぶる下種野郎特有のにやけた笑いを浮かべた男たちの中の一人が、バクシーの後頭部を引っ掴んで床に零れたスープの中へと押しつける。

(ご愁傷サマ)

奴が生きてココを出る可能性は、ゼロに等しい。
バクシーの頭を抑えつけるスキンヘッドの男の頭皮に、GDの刺青が彫られているのが見えた。ワーオ、あんなところにタトゥー入れちゃうなんて、想像しただけでキンタマまで縮み上がっちゃう。『アレ』が自分とこの幹部だなんて、思ってもいないんだろう。だけどまぁ自業自得ってやつだ、同情はしない。
ちろり、と、爬虫類めいた長い舌が蠢いて床の上を這う。

「こいつ、マジで食ってやがる!」

零れたスープをすする音が辺りに響くと、男たちは嘲りを含んだ歓声を上げながら口々にバクシーを罵った。だが、バクシーは男たちの声など耳に入っていないみたいに、恍惚とした表情でスープをすすり続けている。

(ありゃ、勃起してやがんな)

もちろん、男にいたぶられて興奮しているわけはない。奴の頭の中は自分を囲む連中を嬲る方法でいっぱいのはずだ。自分たちの優位を信じている連中が、一瞬で立場を逆転されて恐慌状態に陥る様を。奴らの内臓を引きずり出して弄ぶ自分の姿を。妄想して興奮しているはずだ。
バクシーを取り囲んでる連中が、奴の頭の中でどんなことになってるのか想像しただけで胸いっぱいになっちゃいそう。特にあのスキンヘッドの野郎は念入りに嬲られるのに違いない。

(頭の皮を剥がれるくらいで済めば恩の字なんじゃねぇの?)

最終的に死ぬことに変わりなくても、過程は大事だよな、うん。
それにしても、なんであいつらは気づかないんだろう。いくらおどおどと弱そうなふりしてたって、内側からは隠し切れない狂気がだだ漏れだってのに。あんな風に身体を密着させてれば、だぼだぼの囚人服の下に隠された身体がどんなに鍛えられてるか、人殺しに長けてるか、すぐにわかりそうなもんなのに。

「お、っと

考えごとをしながら膨らませていた風船が、内側からの圧力に耐えかねて、ぱちん、と音を立てて弾けた。

(どうせ近いうちに死んじまう奴らのことをあれこれ考えてたって意味ねぇか)

這いつくばった姿勢でまだ床を舐めているバクシーにもう一度だけ視線を投げると、俺は食堂を後にした。