身体のあちこちにこびりついた互いの体液をシャワーで洗い流した後だというのに、飽きもせずキスをくり返しながらジャンとバクシーは縺れ合うようにしてベッドの上に転がり込んだ。太腿に当たる恋人の性器が硬く張り詰めているのを察知したジャンは、相手が何か言い出すよりも先に牽制の言葉を繰り出す。
「――オイ、今日はもうやらねぇからな」
「分ァかってるってぇ。けどよぅ、ジャンの抱き心地がよくって手放したくねぇんだよなァ。な、今日はこうやってくっついて寝ようぜ。いいだろ? ナァ」
自分の頭を腕の中に抱え込んだ恋人に甘えるように請われたジャンは、しょうがないと首肯しようとして――それから、数日前の朝のことを思い出して渋い表情になった。
「よくねぇよ、こないだ寝違えたばっかだし」
「エー!? そんなぁ!」
「おめーの腕が太すぎんのが悪いんだよ、諦めろ。それか今すぐ腕の太さを二分の一にしろ」
「無茶言うなってぇ……ア、だったらよぅ」
腕の中のジャンにしょげた顔を向けていたバクシーの目が、不意にキラキラと輝き出す。それを見上げていたジャンは、また何か碌でもないことを思いついたに違いないと思いつつ、口を開いた。
「――何だよ」
「俺がジャァンの腕枕で寝ればよくね?」
「ハァ?」
「な、な、抱っこしてくれよぅ、ママー」
「アホか、お前みたいなでっけぇガキ産んだ覚えなんざないわい」
「ひでぇママだなぁ、俺だって生まれた時からこのサイズだったわけじゃねぇんだぜ? 忘れちまったのかよぅ」
「カーヴォロ……くくッ、バーカ、くすぐってぇ、っての」
すげなくあしらってもめげずに子供ぶってみせるバクシーの姿に思わず笑いを漏らしてしまった瞬間、ジャンは己の敗北を悟る。こうなってしまってはもうバクシーの独擅場だった。抱きかかえていたジャンの頭を解放したバクシーが、今度はジャンの脇の下に頭を突っ込むようにして潜り込んでくる。脇の下をくすぐられるような感触に不満を訴えながらも、最終的にジャンは求められるがままにバクシーの頭を腕の中に抱え込むことになった。
「あー……何だこれ、すっげぇ落ち着くワァ……」
ジャンの胸元に顔を埋めたバクシーが、しみじみと噛み締めるような声を発する。伸ばせばベッドの外にはみ出してしまうであろう長い脚は、丸めるように曲げられてジャンの胴体を挟み込んでいた。ジャンの胴体から脚にかけて絡みついているバクシーの脚が、身体を引き寄せるような動きを見せる。もっと密接にくっついていたいという意思を無言で伝えてくる恋人の仕種に、ジャンは声もなく笑って。それから、己の腹部に押し当てられたバクシーの性器にするりと手を伸ばした。
「ったく、なーにが落ち着く、だよ。さっきより更にガチガチになってんじゃねぇか。こんなんで寝られるのかよ」
「あぁん、今ママに触られたせいで眠れなくなっちゃいましたァ」
「ママ呼びやめろっつーの。だいたい、このバカチンポは俺が触る前からギンギンだったろうが」
「そりゃあ恋人とこんなにぴったり密着してんだからしょーがねぇべ」
「お前、さっき何発出したか分かってんのか」
「んー……ひーふーみー……いっぱい?」
「カッツォ、五発だよ五発! こっちはもう出すモンなんざ一滴もねぇってぐらいに搾り取られちまってるってのにおめーのキンタマはどうなってんだよ無尽蔵かよ」
口では罵りながらもジャンの右手は握り込んだバクシーの性器をゆるゆると上下に扱いて性感を煽っていく。恋人の手によってもたらされる快感に抗うことなく、バクシーは腰を震わせ、熱い吐息を漏らした。ふいごから吐き出されたのかと錯覚したくなるようなその熱に裸の胸板を撫でられて、ジャンの口から反射的に声が飛び出す。
「――ンッ」
それを耳にした瞬間、バクシーの鈴口からどぷりと透明な液体が溢れ出した。自分の手を濡らすそのぬめりをジャンが感じ取るのと時を同じくして、バクシーが甘えるような強請るような声を上げる。
「ジャァンー」
自分を見上げる恋人の期待をにじませた表情に、しょうがないと言いたげに口許を緩めたジャンは。前髪の生え際に小さくキスを落として、バクシーのペニスを握り直した。