俺に跨るバクシーの姿は、その長い腕や脚のせいでデカイ蜘蛛を思わせた。重機の鉄爪みたいな手に支えられた俺のチンコの先端を濡れた感触が包み込む。ここに来る前にもう準備は済ませていたらしい野郎の周到さに、後頭部がカァッと熱くなって――熱で脳が灼き切れるかと思うくらいに興奮させられた。そのまま俺のチンコは大した抵抗もなく、ズルリ、野郎のケツの中に飲み込まれる。筋肉量の関係だろう、そもそもが俺よりも大分体温の高いバクシーの、更に内臓の中とあって。暖かいを通り越していっそ熱いと言いたくなるような熱に包まれた。
「あー……ハァ……イーィぜぇ。あっちぃなぁ、オイ」
野郎にとっても俺のチンコは〝熱い〟らしい。恐らくはガッチガチのマジ勃起をしているせいだろう。俺のチンコが腸の中の粘膜を抉るように擦り上げると、それに応じるようにケツの入り口がひくひく痙攣するのが伝わってくる。そのままどんどん銜え込まれていく俺のチンコは、全部収まりきるよりも先に壁みたいなもんに突き当たった。入れられた経験はないからよく分からないが、人によっては痛がってそれ以上は進めない行き止まりみたいな場所がある。入れてる側にとっても手応え――って言い方で合ってんのか?――を感じるそこ。
だが、バクシーは何のためらいもなく俺の勃起にそこを貫かせた。亀頭が何かに嵌まり込んだかのような、グポッと表現したくなるような感触。
「アー、ハハァー」
満足そうな溜息と共に、バクシーの口からは長い舌がだらりと垂らされて。ピアスのきらめくそのピンク色の肉の先端から涎が滴り落ちてきた。俺の腰の両脇をでかい掌でがっちりと掴んで、野郎が腰を上下に振る。その度に俺のチンコの先端は、ぐぽん、と壁みたいなところを出入りしてるのが分かった。その出入りの度にバクシーのケツの穴が俺のチンコの根元を食いちぎらんばかりに締め付けてくる。
「ハァ……クッソ…………」
その刺激に堪えきれず、ため息と喘ぎ声の中間、みたいな声が出ちまう。聞き咎めたバクシーが、俺を見下ろしてニヤリと笑った。まだまだ余裕を残したその表情に、俺は歯を食い縛って快感をやり過ごす。前回こいつとやった時よりも気持ちいいってのはどういう訳なんだ。
「バクシー、テメェ……余裕、かましやがって……」
「ンーフフゥ……テメエは随分と余裕が無さそうだなぁ、ドギー?」
仰る通り、だよ。余裕なんて全然ねぇ。よく分かんねぇけどケツの中がすげぇ蕩けてるみたいな感じで熱いし、入り口は痛いぐらいに締め付けてくるくせに中はふわふわしてるというか柔らかいというか。このままだとバクシーをいかせる前に暴発しそうだ、という危機感に駆られた俺は。俺と野郎の身体の間で存在感を主張していたバクシーの勃起に――その、冗談みたいなサイズのデカチンコに手を伸ばした。
「ホ? こりゃどういう風の吹き回しだ?」
前回、俺がこいつのチンコに指一本触れなかったことを覚えていたんだろう。バクシーは意外そうな――こいつにしては多分かなり珍しい、素の表情になった。先端から溢れ出した先走りで濡れ光る亀頭。硬さもサイズも俺の握り拳ぐらいはありそうなそれを撫で回すと、俺の掌にぬるついた粘液が塗り広げられていく。
「いかせてやるから感謝しろっての」
「このままじゃ俺様をいかせるより先に自分だけ出しちまいそう、ってかァ? ドギーちゃんは早撃ちが得意でちゅもんねー」
「うるっせぇ!」
ぬめった掌で括れを包むように覆って、手首を捻る。掌の中でぬるぬると滑る勃起が、まるで独立した生き物みたいに跳ねて逃げようとするのを押さえ込み。そういえばこいつは痛いのが好きなんだったか、と思い出した俺は。先走りを溢れさせる尿道口に親指を差し込んでゆるゆると内側を擦るように指先を動かした。尿道を舌でやんわり責められるのは気持ちいいが、俺自身は硬く尖らせた舌で強めに抉られたりすると快感よりも痛みの方が強く感じる。指であれば舌よりも更に強い刺激になるはずだ。だが。
「ぁ、あァー……」
予想した通り、バクシーにとっては痛みよりも快感の方が強いらしい。ビクリ、俺の手の中でバクシーの勃起は痙攣するように大きく蠢いて。俺のチンコを包み込んだ野郎の内部が俺のペニスを絞るみたいにうねった。腸は膣と違ってただの空洞――のはずなのに、まるで精液を搾取する生き物みたいに中が蠕動する。俺は唇を噛み締めて快感をやり過ごしながら、左手で括れの部分を包皮で擦るみたいに刺激し。右の指先で尿道口を広げるみたいにして抉った。
「ぅぉ、ぐ、ぁあーッ」
喘ぎ声というよりは獣の唸り声みたいな声がバクシーの口から漏れる。割れた腹筋に力が込められているのが目に見えて分かった。太腿の張り出した筋肉にグッと力が籠められたかと思うと、俺よりも一回りでかい、無駄な肉なんて一つもないような、鋼みたいな身体が大きく持ち上がり。俺に考える隙を与えることもなく落とされた腰に――野郎の体内に一気に呑み込まれた俺のチンコは、うっかり先端から少しだけ精液を漏らしてしまう。
「クッソ……――!」
何とかそれ以上の放出をぐっと堪える俺の様子に構うこともなく――恐らくは、俺がちょっと漏らしちまったことにも気づいてはいないだろう――バクシーは上下運動を繰り返す。正に〝喰われてる〟って表現がぴったりの状況で、俺は自分から腰を突き入れることすら出来ず。両手でバクシーのチンコを握り締めるように掴んだまま、せめて野郎が達するまではとひたすら射精感を堪えた。
「ぐぁ、あ、ァァ――ッ」
俺に覆いかぶさる蜘蛛みたいな身体が、ぶるり、痙攣して。俺の精液を搾り取るみたいに野郎の内部が蠢いた。
「やべ……出るッ」
背中から腰にかけて走り抜ける快感の波に、とうとう堪えきれずバクシーの中にぶちまけてしまう。放出は一度では収まらず、二度、三度と野郎の中に吐き出して。全てを出しきると、急激に全身の筋肉が弛緩して、気怠さにため息が出た。
「ハァーーー……」
頭上からも肺の奥から吐き出してます、みたいな深いため息めいた声が降ってきて。いつの間にか閉じていた目蓋をこじ開けた俺は。自分の両手の中に、まだ勃起状態のバクシーのチンコがあることにようやく気づいて。
(ケツではいったけど、チンコはまだいってなかったのか……)
ぼんやりとした頭でそう考えた俺は、野郎のチンコを右手で扱きながら。左の手を俺たちの結合部の近く――そこにあるバクシーのキンタマへと手を伸ばし。やわやわと優しく袋を擦ってやると、物足りなさそうな呻り声が聞こえてきて笑いが零れる。強めの刺激がいいのかと袋をつねるように引っ張ってやると、今度は満足そうなため息が降ってきた。右の手の中で馬鹿みたいに硬く張り詰めた勃起が一際大きく膨らむのに合わせて、キンタマも縮むのが触感で分かる。出るな、と思った次の瞬間には、どろりと重たそうな粘液がバクシーの尿道から溢れて俺の腹の上に垂れた。
「フゥー……」
自分でチンコを扱いて最後の一滴まで出しきったバクシーは、満足そうなため息を一つついて立ち上がる。俺はそんな野郎の姿を追いかけるように見上げて。機嫌良さげに仁王立ちする男と、放心状態でそれを見上げるマヌケ面の男。多分今の俺たちを誰かが見かけたら、俺が野郎に散々レイプされた現場だと勘違いすることだろう。ある意味、間違ってはいないんだが。
そんなマヌケ面の俺を見下ろして、バクシーは。ニヤリ、口元を歪め。
「さァて……どうする、ドギー? 次は攻守交替、してみるかァ?」
「――冗談じゃねぇ。お前のデカチンコ相手に女役なんてごめんだぜ」
「んだよ、ケツの穴の小せぇオトコだなァ、オイ?」
「ガバケツよりはマシだっつーの!」
そんな風に言いながらも、俺は。いつか、こいつの思い通りになる未来が来ることを薄っすら予感しちまった、俺は。何故か湧き起こった腹の奥の疼きを堪えて。熱いため息を一つ、零した。