観覧車を降りた俺たちは、先ほど園内を移動中に見かけた、稼働していないアトラクションの許へと足を運んだ。恐らくは故障中なんだろうそのアトラクションの管理小屋には当然鍵がかかっていたが、そこは俺の腕の見せ所というやつだ。バクシーの図体を壁にして、ものの数秒で鍵を開けて中へと入り込んだ後は、やることなんて一つだけだった。
「――ッ、ぁ、ッ…………」
カバーのかけられた操作盤らしきものに這うように押し付けられた俺の体内でバクシーが暴れ回る。その動きに合わせて飛び出しそうになる悲鳴じみた嬌声は、口を塞ぐ大きな掌に全部吸い込まれちまった。
(こいつの、何か、いつも以上にデッケェ……)
この状況がバクシーの興奮を煽っているせいなのか。それとも、俺の方が、鼻から吸い込むだけでは酸素の供給量が追いついていないからなのか。
(オンナの首絞めながらヤるとアッチの方も締まるって言ってた奴、いたよな)
益体もない考えは、背後から押し付けられる腰の動きにあっという間に散らされて空気中に消えていく。
「ジャン、ジャンの中、熱くて、キツくて、たまんねぇ……ッ」
言いながら、台に伏せた形の俺の背に、上体を倒したバクシーが覆い被さってくる。そうすると野郎の凶器じみたデカさのチンポが、よりいっそう身体の奥深くに入り込んできて、俺は声もなく――実際は声を上げてはいるのだが、口を塞がれているので外には出ていない――背を仰け反らせて達した。ザーメンは出なかったが、俺がイッちまったのが分かったんだろう、耳許でバクシーの興奮した肉食獣じみた唸り声が響く。それがやけに遠くに聞こえて、俺は自分の意識がすっ飛びかけていることに気づいた。
(あー……酸欠で、息が、やべぇ……)
口許を抑えている、血管の浮き出た野太い腕をバシバシと叩いて訴えると、勘のいい野郎は直ぐに手を放して俺の口を自由にしてくれる。当たり前だが、野郎の掌も俺の口周りも涎でベタベタになっていた。濡れた皮膚が空気に触れてスースーする不快感に眉を顰めながら、俺は声を絞り出す。
「お前、デカすぎんだろ……いっつもだけど」
切れ切れの息でそう訴えていた時、不意に子供たちの甲高い笑い声が辺りに響き渡った。
「――!!」
思わずビクッとしちまったが、その声はあっという間に遠ざかっていく。何のことはない、この近くをはしゃいだ子供が数人駆け抜けていっただけのようだ。動いていないアトラクションに興味を示す人間などまずいないのだから、この辺りに留まろうという物好きだってそうそう現れるはずはない。此処にやって来るのは、他のアトラクションに移動する際の通過点として通り過ぎる人間ばかりだ。
そんなことは分かっている――だからこそ、此処にしけ込んだのだ――はずなのに思わず反応しちまった俺が面白かったのか、背後でバクシーが低い笑い声を漏らす。だが、そのことに文句をつけるより先に、熱く濡れた舌がべろりと俺の項を舐め上げた。
「ナァ、ジャァン。さっきの――オメェが玩具くれてやったガキンチョ。あいつが今のこの場面見たらどう思うかなぁ。あの優しいお兄ちゃんが獣みたいなセックスしてるゥーー! って驚いちまうんじゃねぇ?」
「バカ、そういうこと、言うなぁ……ッ」
「そう言いながら、ジャンの中は今ギュゥゥーッって締まったわけです、が――ッ!」
ゆっくりと時間をかけて限界まで抜かれた凶器チンポが、勢いをつけて一気に根元まで叩きつけられる。棍棒で内臓を殴られているみたいな衝撃。だが、襲ってきたのは痛みなんかじゃなく――いや、痛みすら快感にすり替えてしまうような。
「お゛ッ、あ゛ァ゛ッッ――!!」
堪える余裕もなく、鋭い悲鳴じみた汚い声が口から飛び出した。誰かに聞かれちまったらどうしよう、なんてことを考える余裕はない。脳細胞が灼けついたみたいな快感が頭の中で白い火花を散らした。
「あ、やべぇ、また……また、いぐぅ――ッ」
「イッて、ジャン。俺に――お前のことが大好きでたまんねぇお前のオトコに、お前が俺のチンポでイッちまう可愛いとこ見せてくれよぅ」
「こえ、そと、に……っ」
「だーいじょうぶだってェ。あっちこっちで音楽が流れててそっちのがうるせぇし、そもそもみんな自分たちが楽しむのに必死で他人のこと気にしてる余裕なんてないじぇ」
燃えるような荒い吐息と共にそんな言葉を吐き出しながら、煽るみたいにバクシーが腰の動きを加速させる。打ち付けるリズムに合わせて俺の喉からは抑えようのない嬌声が飛び出して、狭い管理小屋の中で響き渡った。
「ひっ、それ、やべぇ、やべぇ――ッ」
「うぉ、出る――ッ!」
ひと際奥深くまでバクシーが入り込んできた瞬間、俺はまた高みへと押し上げられていた。ほぼ同時に達したバクシーのザーメンが、腹の中でびゅるびゅると音を立てそうな勢いで吐き出されているのが、分かる。
「あ……出てる…………」
「やーべぇなコレ止まんねぇわ……つーか、そうだ……中に出しちまった……スマン…………」
「ん……ッふぅ……」
処理する手段もないというのに中出ししたことをバクシーが謝っているのは理解できたが、まだ絶頂の途上にいる俺はただ身体を震わせることしかできずにいた。その代わりというわけじゃないが、注ぎ込まれる熱を最後の一滴まで搾り取ろうとするみたいにアヌスが――腹の中が蠢いて。
「あー……やっべ、ジャンの中、気持ち良すぎてずっと入っていたいわぁ……」
俺の背中に抱きついて髪の毛に口付けながら噛み締めるみたいな口調でそう言ったバクシーに、俺はやっとの思いで言葉をひり出す。
「離さないで……ずっと、ちゃんと、捕まえててくれよ、な」
もう二度と、あんなビジョンなんて視なくて済むぐらいに。しっかりと掴んで、離さないで、傍に引き留めていてくれないと、困るんだ。
(俺を、お前のものでいさせてくれよ――)
――俺も、何度だって、お前を選ぶから。